第318章

赤毛は不満げに伊藤拓巳を一瞥し、鼻を鳴らして座り直した。

十分もしないうちに、森の奥から伊藤創が現れた。頭部を吹き飛ばされた野生のヤギを引きずっている。

彼はゆっくりと歩み寄ると、獲物を赤毛の前に放り投げた。

そして赤毛を見下ろして言った。

「もう食い物を探す必要はない」

赤毛は目を見開いた。まるで信じられない光景でも見るかのような表情だ。伊藤創がこれほど短時間のうちに、巨大な野生のヤギを仕留めて戻ってきたことが、彼には理解できないようだった。

それは彼の想像を絶する出来事であり、常軌を逸していた。

赤毛は仲間を呼び寄せると、腰から鋭利なナイフを抜き、慣れた手つきでヤギの解体を...

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