第349章

カエデ林の方へ戻ると、伊藤瑞葵たちはすでに儀式用の物を整え終えていた。

古い楓の木の下、石のテーブルの上には果物や肉、そして精巧な手工芸品が所狭しと並べられている。

俺たちがカエデ林に足を踏み入れた瞬間、護衛の任務に就いていた原始族の戦士二人が立ちはだかった。彼らは腰の長刀を抜き放ち、俺の背後に控える晃を警戒心剥き出しで睨みつける。

晃もまた彼らの敵意を敏感に察知し、牙を剥いて低く唸った。鋼のような体毛が逆立ち、いつでも戦闘に入れる態勢だ。

伊藤瑞葵と瑠璃が歩み寄ってくる。二人は野生の狼を一瞥してから、俺へと視線を移した。

「この野良狼は、あなたの連れ?」

伊藤瑞葵が尋ねる。その...

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