第501章

「世の中ってのは将棋みたいなもんでさ。先が読めない一手が山ほどある。いま下す決断が、いちばんの正解とは限らないんですよ」

おれがそう言うと、老人はゆっくりと振り向き、机の引き出しを開けた。中から小瓶に入った薬剤を十本取り出し、そのままおれに差し出してくる。

受け取った薬剤をポケットにしまいながら、おれは頭を下げた。

「先輩、ありがたく頂いておきます」

老人は事の切迫をよくわかっているらしく、静かな声で言った。

「海老原和生。戻ったあと、どんな者が来ようと、何を言おうと、簡単に信じてはならん」

おれは少しだけ眉をひそめ、老人を見つめる。

「先輩は……おれが戻るって、そんなに確信し...

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