第514章

本田安奈のはにかんだ笑顔を見送り、テントの入口の布がぱさりと揺れて閉じた瞬間、おれの顔から笑みがすっと消えた。代わりに張りついたのは、重く固まった焦燥と緊張だ。これから始まる戦いは、まるで巨大な岩が胸の上にのしかかっているみたいに、おれの心を押し潰そうとしていた。今の配置と戦力だけじゃ、とてもじゃないが足りない――その現実が、嫌というほど分かっている。

作戦指揮用の臨時テントに戻ると、伊藤陸斗がまだ、粗末な地図を前に腕を組んでいた。おれに気づいて顔を上げた彼の目には、不安が色濃くにじんでいる。

「海老原和生、本当にこの戦い、持ちこたえられるのか? エリート同盟の戦力は桁違いだ。たしかに、...

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