第528章

息を殺し、ひたすら境地を突き破ることだけに意識を集中させていたおれの耳に、聞き覚えのある、かさ……かさ……という気配が紛れ込んだ。

 はっとして目を開き、高みから見下ろすように視線を巡らせると、澤口奈津美が森の細い獣道を、こそこそと奥へ奥へと進んでいくところだった。

「どこへ行く気だ? 傍にモンスター族の戦士が一人もいないじゃないか」おれは思わず小声でつぶやく。

 胸のどこかが、ざわりと騒いだ。澤口奈津美は、昨夜現れたあの謎めいた力と関係がある──そんな予感が、どうしても拭えない。まさか、今まさにその神秘の力と合流しに行くつもりじゃないだろうな。

 放っておけるはずもなく、おれは修行...

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