第544章

頭がぐらぐらして、視界がかすむ。背中にはじっとりと汗が浮かび、足もとが一気に力を失っていく。

 あの深海の怪獣――強すぎる。あいつ一体とやり合っただけで、精神力をここまで削られるとはな。

 数日前、おれはひとりでレベル4の覚醒者を三人まとめて相手にしても、ここまで消耗はしなかったというのに。

「ありがとう」

 おれは大平愛子に礼を言い、差し出された缶詰を受け取る。一さじずつ口に運ぶ。普段ならまず手を出さない保存食も、今の状況じゃ山海の珍味にも負けないご馳走だ。

 缶詰を一つ食べきるころには、体のだるさもだいぶ引き、力が戻ってくるのをはっきり感じた。

 これで当面の危機は乗り切った...

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