第580章

おれは酒そのものにはあまり興味がない。けど、白崎由美子が言っていたように、酒ってやつは千の悩みを流してくれるらしい。

「これ、何で作ってある酒なんだ?」

おれは白崎由美子の手から土器の瓶を受け取って、軽く振ってみる。中の酒がちゃぷん、ちゃぷんと鈍い音を立てた。

「なんかね、親指くらいの大きさのベリー? そういう実をいろいろ漬けてるだけみたい。名前までは分からないんだけど」

白崎由美子の瞳が、きらきらと光る。まるで細い三日月を二つ、そのまま閉じ込めたみたいに。

透きとおるような白い肌に、血の色を含んだ小さな唇。きゅっと上がった口角が、妙に色っぽい。

薄い上着の下には、二匹のウサギが...

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