第589章

だが、その正体を見極める暇もなく、トーテムはきらきらと金粉へと砕け、おれの掌へ吸い込まれていった。つるりとしていた掌紋の上に、じわじわと一筋の裂け目が刻まれていく。裂け目の奥で、かすかな雷光がちらちらと明滅していた。

「また暴走かよ」

 口元にこびりついた金粉を拭い、ふと指先を見る。爪の隙間には、暗い金色のかさぶたがびっしりとこびりついていた。

 昨日、禁地のコアの縁で、この力がいきなり指先から暴れ出し、岩礁一帯を丸ごと溶かして瑠璃に変えた。瑠璃の中には、形になりきれず途中で固まった鯨骨が閉じ込められていて――そのカーブは、おれの後ろ首に刻まれた魚尾紋の走りと、寸分違わなかった。

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