第590章

俺は茫然と立ち尽くした。海の向こうに広がる文明世界から離れて、もうずいぶん経つ。俺の記憶の中にあった文明の欠片は、今やほとんど見つけられないほどに薄れていた。

エリート同盟を裏で操っているのが一体誰なのか、そしてあの謎めいた勢力が何を企んでいるのかを知っているのは、おそらくあの老いた猿だけだろう。

「海老原和生? 海老原和生?」

沈思黙考する俺を見て、瑠璃が名前を呼んだ。

俺は我に返ると、精神力で形作った手で瑠璃の肩をぽんと叩いた。

「相手がどんな精神力を持っていようと、俺たちは最後まで戦い抜くさ。黙って死を待つなんて選択肢は、初めから俺たちにはないんだ! それに今の俺なら、奴らを...

ログインして続きを読む