第606章 一体話し合いたいのか

もうこれ以上、正面からは受けきれない――。

 おれは伊藤陸斗の体で身をひるがえしざまに大剣を抜き放ち、同時にその肉体に眠る野性の血を一気に叩き起こした。

 原始人の瞳孔がぎゅっと収縮し、真紅に染まる。振り抜いた大剣が血色の残光を引き、その刀風が氷の地面をなでただけで、三尺はあろうかという溝が抉り取られた。

 それを見た赤眼が鼻で笑い、両掌を合わせてエネルギーの巨槍を形成する。尖端には空間そのものを裂きそうな鋭い光がきらめいた。

「終わりだ!」

 怒号とともに、巨槍が唸りを上げて飛来する。

 おれはその瞬間、伊藤陸斗の身体をくるりと横向きに回し、背中からその一撃を受けにいった。

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