第616章 海老原和生が私たちをからかっている

人食い花の沼地から漂う腐臭は、十キロ離れたこの場所でも微かに感じ取れた。まるで湿って冷え切った綿の塊が鼻腔を塞いでいるかのようだ。

西村亮のチームが着る防護服の破れ目から、淡い緑色の粘液が滲み出している。以前、蔓に腐食された痕跡だ。それは沼地特有のじめじめとした熱気の中で、不気味な蛍光を放っていた。

「ディテクターの表示では、秘境のエネルギー反応は前方三キロだ」

西村亮はモニターに結露した水滴を拭い去った。金属の筐体に覆われたディテクターは規則的な電子音を鳴らし、赤い光が沼地の奥を指し示して点滅している。

「俺の感知に狂いはない——エネルギー源は北西だ! そんなガラクタ、妨害電波でも...

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