第六百三十一章 隻眼のジャック

――そしてまた、あれこれ好き勝手に意見が飛び交い始めた。髪に生花を飾ろう、と言い出す子がいれば、船室をもっと暖かい雰囲気にしようよ、と張り切る子もいる。

 デッキを渡っていく海風さえ、どこかやわらいだように感じた。女の子たちの笑い声が、バラの香りといっしょにゆるやかに渦を巻き、これから始まる講和の前に、つかの間のぬくもりを編み上げていく。

 誰の顔にも期待と憧れが浮かんでいた。まるで、講和がうまくいって、みんなで明るい未来へ歩き出す光景を、もう目の前に見ているみたいに。

 ……なのに、そんなふうに無邪気に喜んでいる姿を見るほど、おれの肩の荷は重くなる一方だった。

 こいつらの期待だけ...

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