第665章 意地っ張りな安田真紀

安田晶彦が湯呑みを握りしめる指の関節は白く変色し、中の茶が微かに波打っていた。

「海老原さん。私が退位しなければ、江口凛は必ず内戦を起こすだろう。そうなればエリート同盟は崩壊し、長年の苦労が水の泡となる。だが、無抵抗で譲り渡せば……」

彼は喉仏を上下させ、掠れた声で言葉を絞り出した。

「江口凛は血も涙もない男だ。連盟を深い闇へと引きずり込むに違いない」

安田真紀が勢いよく立ち上がった。翻ったスカートの裾がテーブルの角を掠める。

「お父さん! 私たちの血と汗の結晶を、あんな男に渡すわけにはいきません! 海老原さんも協力してくださるんだから、私たちを支持する勢力を集めて、先手を打つべき...

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