第675章 誰にも私の恋人を傷つけさせない

おれはあわてて顔をそらし、VIP席の方を見た。あの中年の男と老人、それから紅いドレスの女が、まっすぐこっちへ歩いてくる。

 さっきから意識に直接語りかけてきていたのは、この紅いドレスの女だ。

「すばらしい、すばらしい」

 中年の男はぱちぱちと手を叩きながら誉めそやしたが、聞けば聞くほど口先だけなのがわかる。

「神の試練、大地の呪縛は覚醒界でも天井クラスの存在だ。それが君、海老原和生の前じゃ一撃ももたないとはね。君の能力、正直言って恐ろしいよ」

 老人は低くくぐもった声で、ねっとりとした調子で言う。

「かつてエリート同盟の祖先と、君の祖先があの水晶装置を開発したというのは、まさに前...

ログインして続きを読む