第696章 実験体007号

錆びついた鉄の扉を押し開けると、「ギギギ……」という耳障りな軋みが、がらんとした基地の奥まで反響した。

床には割れた試験管が散らばり、こぼれ残った薬剤が陽光を受けて不気味な蛍光を帯びている。壁際には蔦が換気ダクトを伝って侵入し、「実験体番号007」と刻まれた金属プレートを、息苦しいほど絡め取っていた。

「これ……」安田真紀の声が震える。壁の剥げた部分に指を伸ばし、爪で刻まれた歪な記号を示した。「救難信号みたい……助けてって」

安田晶彦が近づき、指先で刻痕をそっとなぞる。指腹に細かな壁の粉がついた。

「実験体007号……海老原和生の祖父の番号だ」低い声に、悔恨が滲む。「実験を“合法”に...

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