第1章

棺桶の蓋が閉まるような音を立てて、鋼鉄の扉が背後で閉まった。

午後十一時四十七分。雪は激しく降りしきり、無数の冷たい針のように私の顔を刺す。五年と七ヶ月と十六日。私はその一日一日を、恨みながら数えてきた。

「二度とこんな場所に戻ってくるなよ」

看守が背後から叫んだ。

「少しはまっとうな人間として生きろ」

私が所有するすべて――壊れた歯ブラシ、三枚の下着、そして祖母のネックレス――が入った紙袋を握りしめる。薄っぺらな出所用の服を寒さが突き刺すが、ほとんど感じなかった。

あの地獄での五年が、怒り以外のあらゆる感情を麻痺させていた。

雪の中に二つの人影が待っていた。ダウンジャケットに身を縮こませ、神経質そうに両手をこすり合わせる森田誠。そして、仕立ての良いウールのコートに身を包み、まるで葬式にでも参列するかのように完璧な姿の福田大輔。

それもそのはずだ。この二人は、私の人生を葬る手助けをしたのだから。

二人が一緒にいるのを見て、私はその場で凍りついた。胸の奥が、熱く悪意に満ちた何かで締め付けられる。

このクソ野郎どもが、今さら私のことを気にかけているような顔をして、そこに突っ立っている。まるで、私の大切なものをすべて破壊し尽くしたのが自分たちではないとでも言うように。

怒りが込み上げすぎて、思わず笑みがこぼれそうになった。街さえも焼き尽くせるほどの、純粋で、研ぎ澄まされた怒りだった。

そして私は右を向き、バス停に向かって歩き出した。

「西川凜音、待ってくれ」

福田大輔の必死で、哀れな声が風を切り裂いた。

「話がしたいんだ……」

私は歩みを緩めない。

「消えろ、福田大輔。二人ともだ」

バス停には誰もいなかった。金属の看板が、最終バスは何時間も前に出てしまったことを告げている。

この瞬間を五年も計画してきたのに、家に帰るという基本的なことさえしくじっていた。その皮肉は、笑えてくるほどだった。

「西川凜音!」

森田誠が駆け寄ってくる。雪で靴が滑っている。

「バスはもうないんだ。どこかまで送らせてくれ。頼む」

私は振り返り、そいつを――私の人生を破滅させる片棒を担いだこのクズ野郎を――まじまじと見た。

太ったな。成功はこいつに似合っているらしい。私が刑務所のまずい飯を食らい、イカれた連中とやり合っている間に、こいつは出世の階段を上っていたのだ。正義の味方、副検事・森田誠様、か。

「いいね」

私は静かに言った。

「刑務所はあんたのキャリアに貢献したんじゃない?あの危険な放火犯を刑務所にぶち込んだことで、さぞかし評判も上がったことでしょう」

彼の顔から血の気が引いた。

「凜音、俺は――」

「私を有罪にしたおかげで、いくつの昇進を手に入れた?私が毎晩めちゃくちゃ殴られている間、あんたは何度お祝いの食事を楽しんだ?」

「そんなんじゃない」

彼はか細い声で言った。

「違う?」

私は一歩近づいた。彼の顔に罪悪感が張り付いているのが見えるほど近くまで。

「今井綾香を抱いてる時、彼女の家族に気に入られるために破滅させた女のことを、少しは思い出すのか?」

私たちの後ろで、福田大輔が息を呑むような音を立てた。いい気味だ。二人とも苦しめばいい。

「歩くわ」

私は背を向けた。

「この嵐の中をか?凍え死ぬぞ」

雪はさらにひどくなっていた。私はすでにずぶ濡れだ。

彼の言う通りだった。吹雪の中では、プライドなど何の役にも立たない。今夜、私は生き延びなければならない。

「いいわ」

私は吐き捨て、彼の車に乗り込んだ。

「出して」

森田誠のホンダは、コーヒーと罪悪感の匂いがした。彼が震える手で暖房をいじる間、私は助手席で体をこわばらせて座っていた。バックミラー越しに、福田大輔のBMWが嵐の中へと走り去っていくのが見えた。賢い男だ。今夜、これ以上運を試すのは得策ではないと分かっている。

「凜音」

森田誠が慎重に口火を切った。

「君が俺を憎んでいるのは分かってる――」

「憎んでる?」

私が彼の方を向くと、彼はびくりと震えた。

「憎い、なんて言葉じゃ生ぬるいわ、森田誠。あんたは私の友達のはずだった。同じ場所で育って、私が一番助けを必要としていた時に、私を売り渡した」

「選択肢はなかったんだ」

彼は弱々しく言った。

「選択肢はいつだってある。あんたは私の人生より自分のキャリアを選んだ。私たちの友情より今井綾香の金を選んだ。のし上がるために、無実の女を破滅させることを選んだ」

ハンドルを握る彼の指の関節が白くなった。

「本当にすまないと思ってる。埋め合わせがしたい。君がやり直すのを手伝いたいんだ」

「やり直す?」

その言葉は苦々しく響いた。

「私を助けたいですって、森田誠?なら真実を話せ。あの火事について、あんたが本当は何を知っているのか認めろ」

彼の顔は灰色になった。

「凜音、やめろ――」

「やめろって、何を?今井綾香が十二人を焼き殺したあの夜の話を?」

私は目を閉じ、記憶の奔流に身を任せた。

あのアパートは死の罠だった。六家族分の区画に十二家族が詰め込まれ、配線は祈りとガムテープに頼って辛うじて保たれているような惨状だった。火の手が上がった時、まるで飢えた獣のように、建物を食い尽くしていった。

三階で祖母を見つけた。いや、祖母だったものを見つけたのだ。焼けた肉の匂いが肺を満たし、脳に焼き付いた。私は灰の中にひざまずき、私を唯一愛してくれた人を抱きしめ、声が枯れるまで叫び続けた。

煙と混沌の中、私は彼女を見えた。今井綾香が、警察の規制線の向こうで携帯電話を片手に、私の世界が燃え落ちるのを見ていた。

「十二人のゴミ、ようやく片付いたわ」

サイレンの音を越えて、彼女の声が聞こえた。

「これで福田大輔も、あんな安っぽい女と遊ぶ言い訳がなくなるでしょ」

その時、私は確信した。疑ったのではない――知ったのだ。そして、鈴木大輔のような男よりも、私のようなゴミの言うことなど誰も信じないと分かっていた。

私は目を開けた。森田誠が、何か言いたげだが言葉を見つけられないといった様子で、私を見つめていた。

「五年間、毎晩、毎晩よ」

私はつぶやいた。

「自分が燃えている夢を見た。どんな気持ちか分かる、森田誠?悲鳴を上げて目を覚ますのよ。自分の肉が焼ける匂いが鼻にこびりついて、それをやったクソ女がどこかで絹のシーツにくるまってぐっすり眠っていると知りながら」

彼は一言も発さずに、自身のアパートの駐車場に車を入れた。

彼の部屋は成功を物語っていた。壁には法学の卒業証書、読んだこともないであろう本、そして、祭壇のように飾られた――天使のような顔をした今井綾香の額入り写真。

「美しいわね」

私は写真立てを手に取った。

「この手で十二人も殺したなんて、信じがたいわ」

森田誠はコーヒーカップを落としそうになった。

「凜音、やめろ――」

「やめろって、何を?真実を話すこと?」

私は今井綾香の完璧な笑顔を見つめた。

「真実のせいで、私は五年も地獄にいたのよ」

「教えて、森田誠」

私は静かに言った。

「彼女を抱いてる時、彼女が焼き殺した家族たちのことを、少しは考える?」

彼の顔から血の気が引いた。

「やめろ」

「どうして?真実はあんたを不快にさせる?」

玄関のドアが開く音がした。

「あなた、忘れ物を――」

今井綾香は戸口で立ち止まり、その完璧な顔立ちは喜びに満ちた驚きへと変わった。

「あら、あら。我らが西川凜音さんじゃない」

彼女はまるで自分の家であるかのように滑り込んできた。まあ、おそらく実際に彼女のものなのだろう。彼女のすべてが富と特権を誇示していた。

「文明社会へようこそ」

彼女はマニキュアの施された片手を差し伸べながら言った。

「あなたの…その、教育的なご経験が…世の中における自分の立場というものを教えてくれたことを願うわ」

私は彼女の手を取り、彼女の目が細くなる程度に、ちょうどよく力を込めて握った。

「ええ、もちろん」

私は甘い声で言った。

「生き残ることについて学んだわ。忍耐についても。そして、自分の敵を見分けることもね」

彼女の笑みは揺るがなかったが、その手がこわばるのを感じた。

「素晴らしいことね。誰だって自分の居場所を知るべきだもの」

「ええ、まったくよ」

私は同意した。

「ペントハウスがふさわしい人もいれば、檻の中がふさわしい人もいる。そして中には…」

私は身を乗り出した。

「地獄がふさわしい人もいる」

ほんの一瞬、彼女の仮面が剥がれた。だがすぐに、また満面の笑みに戻った。

「刑務所での生活って、さぞかし…消耗するんでしょうね」と彼女は言った。

「実は、教育的だったわ。殺人犯たちに会ったの。彼らの手口や動機について学んだわ…」

私は首をかしげた。

「彼らの、失敗についてもね」

今井綾香の笑みが、ほとんど気づかれないほど微かに引きつった。

「興味深いわね。まあ、お疲れでしょう。誠さん、彼女に…身だしなみを整える場所を案内してあげたら?」

「そうさせてもらうわ」

私は言った。

「失礼」

窮屈だがプライベートなバスルームで、私は顔から滴る水滴をそのままに、鏡の中の自分を見つめた。

少なくとも十キロは痩せた。頬骨が鋭く突き出て、目が顔に対して大きすぎるように見える。手首には醜いブレスレットのように火傷の痕が巻き付いている――今井綾香が私を他の皆と一緒に殺そうとした夜の、忘れ形見だ。

紙袋から祖母のネックレスを取り出した。変色し、壊れ、留め金は盗んだ糸でつなぎ合わされている。それを指に巻き付けた。

「ただいま、おばあちゃん」私はささやいた。「約束は守ったよ。生き延びた」

森田誠の罪悪感に満ちた顔、迷子犬のように雪の中で待っていた福田大輔、そして自らの力に自信満々の今井綾香を思った。

奴らは私が壊れたと思っている。五年という月日が私の闘志を打ち砕き、哀れんだり無視したりできる、惨めな被害者に変えたと思っている。

奴らは、自分たちがいかに間違っていたかを、これから知ることになる。

しかし、直接的な復讐は単純すぎるし、早すぎる。奴らは私の人生を破壊した――ならば、同じように互いを破壊させればいい。

そして私がすべきことは、ただ正しい糸を引いて、奴らが互いを引き裂くのを見物するだけだ。

次のチャプター