第2章

私たちは台所のテーブルについていた。今朝、朝食をとったのと同じテーブルだ。洋子は二階にいて、天井越しに押し殺したような嗚咽が聞こえてくる。親父は外で納屋のそばに立ち、まるで裏切られたかのような目で建物を見つめていた。

良子は手帳を取り出し、ボールペンのノックを押した。

「光太郎くんが納屋に入っていくのを見ましたか?」

「はい」

「何時頃のことですか?」

「二時頃です。たぶん、少し回っていたくらいかな」

「後を追いましたか?」

私は彼女を見た。茶色い瞳。揺るぎなく、忍耐強い眼差し。答えが出るまで一日中でも待っていられるような、そんな目だった。

「いいえ」私は言った。「かくれんぼをしていたんです。気が済んだら戻ってくると思っていました」

良子は何かを書き留めた。静まり返った台所に、ペンが紙を走る音が大きく響く。

「探しに行くまで、どれくらい待ちましたか?」

「探しに行っていません」と私は答えた。「三日後に圭助おじいさんが見つけました」

ペンが止まった。良子が顔を上げる。

「探さなかったんですか? 三日間も?」

胸の奥が引き締まるのを感じた。罪悪感ではない。正確には違う。罪悪感を抱くべきだという自覚と、それがないことへの重圧のようなものだ。

「隠れているんだと思いました」私は言った。「あるいは友達の家に行ったのかと。時々そうしていたので」

それは嘘だった。光太郎に友達はいなかった。あの子には親父と洋子と牧場しかなく、それだけで十分だったのだ。

だが、良子はそれを知らない。

彼女はさらにメモを取り、質問を重ねた。光太郎がいなくなった時、私はどこにいたのか? 何をしていたのか? 変わったことには気づかなかったか?

私は一つひとつ答えた。声は落ち着かせ、両手はテーブルの上で組んだまま。

ついに良子は手帳を閉じた。立ち上がる。

「他に何か思い出したら」彼女は一枚の紙片を差し出しながら言った。「こちらに連絡してください」

私はその紙を受け取り、目を落とした。『第一警察署刑事課 原野良子』。その下には警察署の代表番号が記されている。

「そうします」

彼女は頷いて出て行った。玄関前の階段を踏む靴の音が重々しく響いた。

私は窓辺に立ち、彼女が車で去っていくのを見送った。彼女が去った後も、車の巻き上げた土埃が長く空中に漂っていた。

二週間後、本宅が全焼した。

その夜、私は従業員住宅にいた。光太郎が死んでから、私はそこに移り住んでいた。もうあの家では眠れないと親父と洋子に告げたのだ。思い出が多すぎる、悲しすぎる、と。

二人は反対しなかった。洋子は心が壊れてしまっていたし、親父は感情を失っていたからだ。

従業員住宅は本宅から五十メートルほど離れていた。見える距離だが、離れとして独立するには十分な距離だ。古い木と埃の匂いがして、ベッドは狭く硬かったが、ここ数年のどの夜よりもよく眠れた。

煙の匂いで目が覚めた。

最初は夢だと思った。だが、火が爆ぜる音と、木材が崩れ落ちる軋みが聞こえ、私は跳ね起きた。長靴を引っ掛け、外へ走る。

家は真っ赤な炎に包まれていた。

窓から炎が噴き出し、屋根を舐め、夜空に向かって伸びている。五十メートル離れていても熱気は凄まじく、まるで巨大な掌で顔を押し付けられているようだった。

私は心臓を早鐘のように打ち鳴らし、煙に喉を焼かれながら駆け寄った。ドアを叩き、叫んだ。ドアは内側から施錠されていた。窓は閉ざされ、カーテンが引かれている。

中からは何の音も聞こえない。悲鳴も、動く気配もない。

ただ、炎の音だけ。

消防車が到着した時には、灰と、骨組みだけになった壁以外、何も残っていなかった。消防隊員は主寝室で二人の遺体を発見した。損傷が激しく、身元の確認は困難だった。

消防署の調査では火災原因は特定できず、警察と合同で詳しい調査が行われることになった。「ガス管の老朽化の可能性もありますが、まだ断定はできません」と消防署長は慎重に述べた。

良子が戻ってきた。

彼女は現場検証のため防護服を着用し、鑑識課員と共に慎重に現場に立ち入った。焼け跡の状況を詳細に観察しながら、私に対してさらに質問を重ねた。火事が出た時、どこにいた? 何か聞こえたか? 何か見たか?

私は真実を話した。従業員住宅で眠っていた。煙で目が覚めた。中に入ろうとしたが、ドアには鍵がかかっていた。

「鍵が」良子は繰り返し、私の目を見据えた。

「内側からです」私は言った。

彼女は長い間、私を見つめていた。彼女の疑念の重さ、その重苦しく意図的な視線を感じ取れるほど長く。

だが、彼女に証拠はない。痕跡もない。あるのは直感だけだ。

そして、直感だけでは不十分なのだ。

一週間後、私は弁護士事務所に座り、親父の遺言書が読み上げられるのを聞いていた。

牧場。土地。家畜。お金。

そのすべてが、私のものだ。

約120ヘクタールの草地、百頭の牛、そして弟が死んだ納屋。

私は書類に署名した。弁護士に軽く会釈をした。そして、眩しい午後の日差しの中へと歩み出た。

目の前には牧場が広がっていた。広大で、空っぽで、私のものだ。

三週間で三つの死体。そして、残っているのは私一人だけ。

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