第20章 正式に入職

衆人の視線が私に注がれていたが、臆することなく、一歩前に出て皆に向かって深々と頭を下げた。

「皆さん、こんにちは。安野恭子と申します。これからお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします」

オフィスには一斉に温かい拍手が沸き起こった。私の到着を、皆が喜んでくれているようだった。

拍手が収まると、杉本健一が口を開いた。

「佐藤明、安野恭子は君に任せた。しっかり指導してやってくれ」

佐藤明という男性が立ち上がり、私と杉本健一の前まで歩み寄った。

「ご安心ください、杉本さん。お任せください」

話しながら、私は佐藤明を見た。

三十代前半くらいの男性で、カジュアルな服装をしており、...

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