第35章 街中での凶行

ため息をついた。村田隆に電話して問い詰めたい気持ちはあるけれど、もう少し彼を信じてみることにした。もしかしたら、本当に単なる雇用関係なのかもしれない。

「おばさん、特に用事がなければ、私は先に上がります」

村田お母さんに別れを告げ、私は立ち上がり、牛乳を手に取って階段を上がり始めた。

エレベーターを待っている間に、後ろから騒がしい声が聞こえてきた。

「お嬢さん、入ることはできません!」

「このままだと、強制措置を取らざるを得ませんよ!」

「違う、彼女は刃物を持っている!早く警察を呼んで!」

……

声のする方を見ると、人だかりの中に見覚えのある姿があった。

その女性は髪を振り...

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