第42章 心を開く

村田隆は私を引っ張ってカフェから出ると、路肩に停めてあるランボルギーニに乗せ、親切に安全ベルトまで締めてくれた。

「さあ、これで落ち着いて話せるな」

私は口を尖らせたまま、返事をする気にもなれなかった。

今日の白川雪乃の出現で、今まで感じたことのないほどの不快感を覚え、すぐにでも彼女の口を引き裂いてやりたいほどだった。

直感が教えていた。この白川雪乃こそ、村田のお母さんが言っていた村田隆の「高嶺の花」なのだと。

そして白川雪乃の目の奥に潜む敵意も、彼女が村田隆に特別な感情を抱いていることを物語っていた。

私が黙っているのを見て、村田隆はため息をつくと、ポケットからチョコレートを取...

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