第5章
冬花視点
「あの子、さっきまであそこで水遊びしてたのに……」大輔さんも弾かれたように立ち上がった。「オスカー!」
私たちは手分けをして、浜辺を叫びながら探し回った。五分が過ぎ、十分が過ぎ……オスカーは忽然と姿を消してしまった。
「クソッ!」大輔さんが血相を変えて駆け戻ってきた。「海に落ちたとか、ありえるか?」
心臓が飛び出しそうだった。「いいえ、あの子はそんな馬鹿な真似はしないわ……」
「オスカー!」大輔さんの声が掠れてきた。「あの子に何かあったら……」
「大丈夫よ」私はとっさに彼の手を掴んでいた。
私たちが絶望しかけた、まさにその時。遠くから聞き慣れた鳴き声が...
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