第5章

「手を切り落とすって?」

 鋭い鼻笑いが、張りつめた沈黙を切り裂いた。

 私は蒼真の血に濡れた手を、二度と見ようともしなかった。ソファから身を起こし、まっすぐ拓海へと歩み寄る。カメラマンは木の葉みたいに震えていた。私は襟元をつかみ上げる。

「ここ、ライティングが台無し。レフ板持って。主寝室に移動するわよ」

 背中に突き刺さる殺意の視線を無視して、私は拓海を廊下へ引きずった。

 カチリ。重い扉のデッドボルトを投げるように掛ける。

 拓海は壁に張りつき、制御不能みたいに震え続けた。「な、なんだよ……千鶴。あいつ、血が……。俺、殺される……」

「うるさい」私は彼を押しのけ、キングサイ...

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