16: いいやつ。

ジョナサン視点

キリアンの病室近くの廊下で座り込んでいると、もう何時間も経ったかのように感じられた。一秒が永遠のように長く、一分が過ぎるたびに神経がすり減っていくようだった。だがやがて、ベータのケイソンがようやく部屋から出てきたとき、俺はやっと普段の自分を取り戻せそうな気がした。

キリアンが俺を選んでくれた今、一分たりとも彼から離れたくなかった。長年抱き続けた夢も、眠れない夜も、渇望も、絶望も、すべて終わったのだ。

「なあ、ジョナサン?」ケイソンは咳払いをして、俺の前に立ち止まった。ジーンズのポケットに両手を突っ込み、俺を見下ろすその顔には、気まずさと決まりの悪さが浮かんでいた。...

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