43: ありそうもない友情。

ザイオン視点

テントがいつもより狭く感じられた。いや、実際に狭くなったわけじゃない。ただ、普段ではありえないほど人でごった返しているせいで、そう感じるのだろう。

ベインとあの巨漢が俺の向かいに腰を下ろすのに合わせて、俺は座る位置を直した。

ベインは緊張していた。その黒い瞳が、俺と巨漢の間を頻繁に行き来する。人間の姿をしていても、他者を緊張させるあの独特の鋭さは健在だ。一方、巨漢はまるで石像のように座り、テント内の誰かが少しでも動けば、その視線が鋭く追っていた。

俺は巨漢の方を向き、少し声を張った。「お前に分かってほしいことがある――ベインは悪じゃない。あいつは、俺たちには見えない何かと...

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