第49章

「実はその机が汚れていたから、新しいものに取り替えたんだ」

私はドミニクの言葉の意味を理解していた。あの机はグレースが伏せていたから、彼が嫌がっていたのだ。

思わず笑みがこぼれた。

ドミニクは身をかがめて私の頬にキスをすると、部下に電話をかけた。

「ボス」

「ジョセフ、こちらはクロエだ。CM撮影のために招いたヒロインだ。クロエをスタジオに案内してくれ。しっかり面倒を見るように」

ジョセフは私を見る目に少し驚きの色があったが、プロ意識からか余計な質問はせず、ただ頷いて承諾した。

「クロエ、ジョセフについていけばいい。何をすべきか全て教えてくれるから」

まさかこ...

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