第104章 母に会いたい

彼は視線を引き戻すと、踵を返して自分の部屋へ戻った。

ベッドの上で、目を開けたまま一晩を過ごす。

翌朝早く、彼は御堂怜央のもとへ向かった。

御堂怜央は朝食の最中だった。彼が入ってくるのを見るなり、眉をわずかに跳ね上げる。

「用か?」

御堂斗真は怜央の前に立ち、頭を垂れた。姿勢は非の打ちどころがないほど恭しい。

「怜央様」静かに言う。「母に、会わせていただきたいのです」

御堂怜央の手が、ふっと止まった。

ナイフとフォークを置き、椅子の背に身を預ける。御堂斗真を眺める視線には、玩具を品定めするような色が滲んでいた。

「母親に会いたいって?」

「はい」

御堂怜央が笑う。

そ...

ログインして続きを読む