第111章 彼女は御堂斗真が届けたものなど飲めない

林田青真。

御堂斗真が前世で最も信頼していた側近。いつも彼の傍らに控え、あらゆる雑事を片づけていた男だ。

――どうして、ここにいる?

江島結奈の脳裏を、前世の記憶が矢継ぎ早に駆け抜ける。林田青真が御堂斗真のもとに現れたのは、いつだった?

はっきりとは思い出せない。

たしか、御堂斗真が徐々に勢いを得はじめた頃、唐突に現れて――それから最後まで、忠誠を貫いた。

なのに今は、給仕の制服を着て、前川由紀の誕生日パーティーで酒を運んでいる。

「お嬢様?」

林田青真が顔を上げ、結奈と視線を合わせる。瞳には、かすかな疑問。

「何かご用でしょうか」

結奈は我に返り、胸の奥の動揺を押し殺し...

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