第113章 早く、見つからないように

江島結奈はふっと微笑み、何気ないふりで問いかけた。

「御堂おじさま、最近お身体の具合はいかがですか?」

御堂柏木の眉がわずかに動く。

「悪くない」

短い返事。

結奈は小さくうなずき、それ以上は踏み込まない。ただ柔らかく笑って言った。

「それならよかったです。どうぞご自愛くださいませ」

そう告げると、軽く会釈し、背を向けてその場を離れる。

御堂柏木は立ち尽くしたまま、彼女の後ろ姿を見送った。目の奥が、暗く深い。

――江島結奈。今日の言葉だけ聞けば、ただの挨拶だ。だが、あの視線は。

媚びではない。どこか……何かを知っているような、妙な色。

御堂柏木は指先に力を込める。

…...

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