第115章 君は俺のことをよく知っているようだ

前川俊輔は口を開きかけた。言い訳をしようとして――けれど、何をどう言えばいいのか分からない。

「お、俺……小晴、聞いてくれ……」

「何を?」赤羽小晴の声が鋭く跳ね上がる。「私に隠れて他の女と遊んでたって話? この休憩室で、そんな汚い真似してたって話?」

小晴の視線が前川俊輔の身体をなぞり、ふいに眉が寄った。

――臭い。

それが、さっきよりも濃くなっている。

気づいたのは彼女だけじゃない。後ろにいた数人の女子も、同時に鼻を押さえた。

「なに、この臭い……」

「くさっ……」

「これ、まさか……まさか……」

口にする勇気はない。けれど、あまりにも分かりやすい臭気だった。分かりや...

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