第117章 御堂怜央が後継者ではなかったら

「怜央様、今日もいらっしゃらないんですって」

「いつものことだろ。あの人が来たことなんてあったか?」

「いやあ、同じ御堂家の息子でもさ。片や毎日外で遊んで、片や毎日ここで働いて……差がすごいよな」

「そりゃ同じなわけないだろ。向こうは若様で、こっちは――」

言いかけた男が、御堂斗真と目が合った瞬間、ぴたりと口をつぐんだ。

御堂斗真は気に留めない。淡々と書類に視線を落とし、手を動かし続ける。

もう慣れていた。

周囲の目に映る自分は、御堂家の隠し子。怜央様の雑用係。便利な道具。どれだけ働こうが、誰も「大変だな」などと思わない。

別にいい。

彼が欲しいのは、最初から他人の承認では...

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