第130章 美しい妻

「もうやめとけよ。帰ってひと眠りして、明日また来りゃいい」

「寝てどうすんだよ。嫁が家で待ってんだぞ、ははは!」

中年男――林田大志。林田青真の父親――は、その言葉に顔色をわずかに変えた。

だが次の瞬間には、無理やり口角を持ち上げる。

「嫁がなんだってんだ?」机をばん、と叩く。「俺が勝って金を手に入れりゃ、女なんて選び放題だろ」

周囲がどっと笑った。

誰も気づかない。部屋の隅、影の濃い場所に、いつの間にか人影が増えていることに。

江島結奈は闇に紛れたまま、ただ静かに、その光景を見つめていた。

一週間、探し続けた。

市街の東部から市の西側へ。闇カジノから会員制クラブまで足を運...

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