第132章 私たちは人を迎えに来た

江島結奈は何も言わなかった。

顔を横に向け、車窓の外へ流れていく夜景を眺める。

焦りすぎ?

……たぶん、そうだ。

利益を最大化するという意味では、間宮航平の言うとおりだった。林田青真の母親が本当に攫われて、本人が絶望の底でもがく、その瞬間に手を差し伸べるのがいちばん効く。涙ながらに感謝し、骨の髄まで忠誠を誓い、彼女にとって最も扱いやすい駒になる。

けれど――江島結奈には、それができない。

あの女の末路を、見てしまっているからだ。

前の人生で、林田青真の母親は弄ばれたあと救い出された。だが、そのときにはもう壊れていた。

気分に波があるとか、時々正気に戻るとか、そういう類の「おか...

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