第165章 教えて

江島結奈は首を横に振った。

「気にしない」

坂井礼司が笑う。

「それならよかった」

彼はメニューを手に取り、彼女へ差し出した。

「注文しようか」

江島結奈は受け取り、俯いて目を通す。

――なのに、頭の片隅が勝手にざわつく。

どうして、結局ふたりきりになってしまったんだろう。

病院では、永橋正彦が通話を切り、スマホをしまった。

隣には、若い女性が救急外来の椅子に座っている。膝には分厚いガーゼが巻かれていた。

整った顔立ちで、目が大きい。笑うと頬に小さなえくぼが浮かぶ。

「永橋社長」彼女が澄んだ声で言う。「本当にすみません。私のせいで会食、間に合わなくなっちゃって」

...

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