第170章 元手をすべて失う

御堂斗真は、言葉を失って固まった。

「……何だと?」

江島結奈が椅子から立ち上がり、彼をまっすぐ見た。

「私、降りる」淡々と言う。「おめでとう。市場価格より八割増しで、土屋杏奈さんを手に入れたわね」

御堂斗真の顔色が変わった。

江島結奈を見て、それから土屋杏奈へ視線を移した瞬間、腑に落ちる。

――最初から契約する気なんてなかったのだ。

彼女はただ、彼に余計な金を出させたかっただけ。

「江島結奈!」

御堂斗真が立ち上がったときには、江島結奈はもう扉の前にいた。

彼女はそこで足を止める。振り返らないまま、声だけを落とす。

「御堂さん。商売は腕次第よ。高値で買うって決めたなら...

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