第21章 彼女のことは気にしなくていい

ボディーガードは乾いた蝋燭に替え、氷みたいな声で言い放った。

「奥様、もう気を失わないでください。落ちたら落ちた分だけ、あとがきつくなりますからね」

御堂結奈の眉が、かすかに震えた。手の中で新しく灯った炎を見つめ、ほとんど絶望しかける。

時間は、じわじわと奪っていく。

朝。正午。午後。

窓の外の陽は傾き、床に落ちる影だけが、長く、長く伸びていった。

蝋燭は半分以上燃え落ち、彼女の両手から前腕にかけて、厚く不格好な蝋の涙が幾重にも盛り上がる。冷えて固まり皮膚にべったり張りついた箇所もあれば、まだ熱い滴が新しく落ちてきて、固まりかけた層を突き破り、その下にできたばかりの水ぶくれと柔い...

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