第23章 彼女の記憶に狂いが生じた

ほとんどすべての項目の横に、目に刺さる赤い矢印――下向き。

執刀医――国内屈指の心臓移植の権威が眼鏡を押し上げ、モニターを見つめたまま眉間に深い皺を刻む。声は重く、言葉を選ぶように落ちた。

「御堂社長。現時点の検査結果から判断すると……御堂奥様の身体状況は、非常に厳しいです」

彼は主要データを指で示す。

「肝機能、腎機能ともに明らかな損傷が出ています。長期の薬剤毒性と栄養失調の影響でしょう。凝固能の異常、重度の貧血、電解質の乱れ……それに免疫系は、強力な抑制剤の負荷を受けたあと、ほとんど崩壊寸前です。感染リスクが極めて高い」

一拍置き、視線を御堂斗真へ移す。回りくどさはなかった。

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