第29章 ガラスをむさぼり食う

――でも、いいわ。

あなたの……消してはいけない「記憶」も、その落ち着きのない手も、一緒に……

きれいさっぱり、処分してあげる。

右手首の骨をへし折られた激痛は、もともと衰えきっていた御堂結奈の身体に、とどめのようにのしかかった。

それからの彼女は、いっそう口数が減った。まるで本物の操り人形だ。どんな指示にも反応しない。口元まで運ばれたものを、ただ機械のように飲み込むだけ。味も温度も、どうでもいい。

風見雪音は、その状態に満足しているらしい。様子を見に来る回数は減ったのに、来るたび笑みだけは甘く、やさしくなっていった。

その日の昼。御堂結奈に食事を運ぶのは、つい最近配属されたばか...

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