第49章 彼女は逃げた

彼は、すでにすべてを手配していた。御堂斗真から以前与えられていた一部の臨時権限と、自身の病院システムへの精通を利用し、「特殊医療廃棄物の処理」という名目で、改造済みの医療廃棄物搬送車を用意していたのだ。

深夜――病院が最も静まり返る時間。

永橋正彦は、絶対の腹心とともに、いまだ深い昏睡に沈む御堂結奈を、細心の注意で廃棄物用の搬送コンテナへ移した。外見はごく普通の医療ゴミ箱と変わらない。実際の廃棄物に紛れ込ませることで、違和感を徹底的に消してある。

搬送車は音もなく病院裏口を出て、そのまま街の夜色へ溶けた。

ハンドルを握るのは永橋正彦本人。監視や検問になり得るルートを避け、アクセルを踏...

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