第51章 彼女はどうして他の男のために涙を流すことができるのか?

御堂結奈は、激痛と失血で紙のように白くなった永橋正彦の顔を見た。ほとんど使い物にならなくなった右手を見た。そして――この先、彼が待ち受ける牢獄の日々を思った。

全部、私のせいだ。

私がいなければ、永橋正彦は今も尊敬される医学の権威で、将来を嘱望される存在だったはずなのに。

私が壊した。

耐えきれない罪悪感と絶望が、潮のように押し寄せ、結奈を呑み込んだ。

――もう、永橋正彦を巻き込みたくない。

たとえ……どんな代償を払ってでも。

残りの力を掻き集め、弱り切った身体を引きずる。さっきの転倒で半身が痺れたように動かない。それでも、結奈は少しずつ、這うようにして御堂斗真の足元へ向かった...

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