第72章 君にかかっている

彼女たち母娘は、おそらくとっくに江島結奈の本当の身元に気づいていたのに、偽の鑑定書を突きつけて――この男に、実の父親である自分の手で、ようやく取り戻した娘を、さらに悲惨な奈落へ突き落とさせたのだ。

「ウルフ・アリーナ……」

江島昭二ががばっと顔を上げた。白目に血が走り、瞳には骨の髄まで染みついた憎悪が燃えている。

「風見晶子だ! あいつは当時、『ウルフ』の三大株主の一人だった! あいつだ、間違いねえ! 結奈をさらわせたのも、あの地獄に叩き込んだのも……最後に、俺に買い戻させて……俺の手で火の海に突き落とさせたのも! 畜生! あの母娘は畜生だ!!」

喉が裂けるほどの罵声。理性は崖っぷち...

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