第79章 風見雪音が妊娠する

彼は手を伸ばし、指先で冷たいガラスにそっと触れた。ガラスの向こうに横たわる江島結奈の頬の輪郭を、なぞるように、少しずつ描いていく。眼差しは陶酔と痛みで歪んでいた。

「結奈……」

掠れた声が、喉の奥で砕ける。

「……俺たちの子を……行くべき場所へ送った……おまえ、少しでも……許してくれるか……?」

返事など、あるはずがない。

御堂斗真は震える手で冷凍庫の側面にあるスイッチを探し当て、押し込んだ。

ぶうん、と低いモーター音。

正面のガラス扉が、ゆっくりと上へ滑り上がる。

刺すような冷気が顔面を殴りつけ、ただでさえ弱り切った身体がびくりと跳ねた。

それでも彼は躊躇しない。むしろ、...

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