第92章 あんたと寝たくなかったから

風見雪音が前世で丹念に手入れしていたあの庭園が、脳裏に蘇る。掘り返された土。薔薇の根元に隠されていた、灰白色の粒——

「うっ……」

江島結奈は反射的に身を翻し、前屈みになって激しくえずいた。

胃の中がぐらぐらと波立ち、酸っぱいものが喉元までせり上がる。傍の柱に縋りつき、肩を震わせながら吐き気を堪えると、涙まで滲んだ。

背後のギターの音が、ぷつりと途切れる。

さっきまでの笑い声も囃し立てる声も消え、庭園には不気味な沈黙だけが落ちた。

江島結奈の背中に、いくつもの視線が刺さるのがわかる。驚愕、困惑、そして——面白がる気配。

そんなものに構っていられない。ただ、この胸の奥からせり上が...

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