第93章 風見雪音の贈り物

御堂斗真の瞳孔が、わずかに縮む。

「昨夜」江島結奈は一語一語を噛みしめるように、氷みたいに冷えた声で言った。「誰かが私に薬を盛って、あなたの部屋に運び込んだ。そしてあなたは薬に支配されて、理性を失ってた」

彼の目をまっすぐ見据え、言葉を刻む。

「ねえ。もし私があなたを突き放さなかったら。もし私が、あなたを階段から突き落とさなかったら――その先、何が起きたと思う?」

御堂斗真は黙り込んだ。

答えは、わかっている。

薬を盛られた男女。深夜のホテルの一室。そこから先に起きることなど、言わずもがなだ。

「俺は……」ようやく口を開いた声は、ひどく乾いていた。「俺は、そんな――」

「しな...

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