第94章 どうしてそんなことができるんだ

彼女は小さく首を傾げ、瞳にほどよい心配と怯えを宿してみせた。まるで嫌われるのを怖がる、か弱い妹分そのもの。

江島結奈はその顔を見つめ、口元をゆっくりと弧にした。

「どうして?」囁くように言う。「雪音がくれたプレゼント、嫌いになるわけないでしょう」

包装をほどき、箱を開ける。

中にいたのは――ヤモリ。

全身が雪のように白く、目だけが血のように赤い。前世で見たそれと、寸分違わない。

リビングに小さなどよめきが走った。従妹たちが反射的に一歩引き、江島征司の妻も眉をひそめる。

「なにこれ……ちょっと気味悪いわね」おばさんが小声でぼやいた。

風見雪音は聞こえないふりをして、ただ不安げに...

ログインして続きを読む