第97章 私の子供の頃のことをまだ覚えていますか?

彼女がフォルダを閉じようとした、そのときだった。スマホが震える。

「江島さん、写真は届きましたか」

受話口の向こうから聞こえた間宮探偵の声は、どこか商売人めいた抜け目なさを含んでいた。

「受け取ったわ。出来もいい」江島結奈は淡々と言う。「残金は期日どおり振り込む」

「江島さんは話が早い」間宮探偵が軽く笑い、すぐに調子を変えた。「ただ、こちらに追加の情報がありましてね。江島さん、興味は?」

結奈の指が、わずかに止まる。

「どんな情報?」

「前川俊輔の件です」間宮探偵は声を落とした。「あの日、写真を撮ったあと、ついでに数日ほど尾行しました。すると――あなたのことを、裏で探ってる」

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