第10章

陸原吉弘の問い詰めるような口調に、安田歌子はむっとした。けれど、沈村遥のあまりにも惨めな姿を見た瞬間、その苛立ちはすぐにしぼんでいく。

そもそも沈村遥は、普段から家でも化粧をしていて、すっぴんを人に見せることはない。そんな彼女がこの有様で配信カメラの前にさらされたのだ。本人にとっては、ほとんど致命傷みたいなものだろう。

「沈村遥さんって、小動物が大好きだとか、動物飼育の勉強までしたとか言ってましたよね」

安田歌子は冷ややかに言い放った。

「だったら、出産したばかりの母羊はすごく警戒心が強くて、子羊に見慣れないものが近づけば、すぐ身を守るために攻撃するってことくらい、知らないはずありま...

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