第110章

沈村の父は電話を切るなり、腹の底に溜まった怒りが噴き上がった。

間髪入れず、沈村の母へ電話をかける。

溜め込んだ苛立ちを、全部ぶつけるために。

「お前、頭ついてるのか! 息子と養女が何年も――お前の目の前で関係持ってたのに、気づきもしなかったってのか?!」

沈村の母も、あの二人の距離感が妙に近いとは思っていた。だが「関係を持っていた」だなんて、さすがに言い過ぎだ。

それでも父が怒りの真っただ中にいるのは明らかで、母は反論できず、ただ耐えるしかなかった。

「俺が仕事で忙しくて家のことに目が届かなかったのは、俺の落ち度だ」父は吐き捨てるように言う。「だが、お前の役目は五人の息子をきち...

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