第143章

沈村知也は名の知れた監督だ。ここ数日は新作の準備に追われ、ネットを見る暇すらなかった。

手元の仕事を片づけたら、バラエティの見逃し配信で遥ちゃんの活躍をじっくり堪能しよう。そう思っていたのに。

――その遥ちゃんから、突然電話がかかってきた。

しかも、こんな夜更けに。泣きじゃくりながら。

沈村知也は跳ね起き、ベッドの上で身を起こす。

「どうした、遥ちゃん? 誰かにいじめられたのか?」

沈村遥の声は震えていた。

「知也お兄さん……私、今ひとりで病院にいるの。すごくつらい……部屋も真っ暗で、ひとりで寝るの怖い……」

「知也お兄さん……会いたいよ……」

胸の奥をぎゅっと掴まれたみた...

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