第19章

「うちの歌子の分なら、俺が代わりに受け取ります」

古崎拓人が口を開いた。

「陸原さん、お気遣いどうも」

うちの歌子――?

陸原吉弘は眉をきつく寄せたが、それでも最低限の礼儀は崩さなかった。

「古崎拓人。安田歌子さんは女の子だし、肌も弱い。これは彼女のために持ってきた薬なんだ」

要するに、返せということだ。

「わかってますよ。ちゃんと俺が塗ってあげますから」

陸原吉弘のこめかみがぴくりと引きつった。

「君と安田歌子さんは、そこまで親しい間柄じゃないだろう」

「へえ。じゃあ陸原さんは、安田歌子に薬を塗ってあげられるほど親しいんですか?」

陸原吉弘は言葉に詰まった。

彼と安...

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