第35章

鈴野晴美が提案した。

「それなら、お給料で店主さんのところでもう一人前、買っていかない?」

昼間、朝食の件があって以来、鈴野晴美もただで何かをもらおうとは言い出しにくかった。

それに、今夜こうして無料で夕食を食べられるのも、全部陸原吉弘のおかげだ。

沈村遥は、内心おもしろくなかった。ほんと、この鈴野晴美は余計なことばかり言う。

今さら食事を買って持ち帰るなんて、昼間に自分が兄のことを忘れていたと認めるようなものじゃないか。

朝も昼も兄を放っておいて、夜になって鈴野晴美に言われてようやく思い出すなんて……そんな事実、沈村遥は認めたくなかった。

そこで、きっぱりと言う。

「お兄ち...

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